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世界を驚かせた「駿河漆器」

静岡を代表する伝統工芸品のひとつ、「駿河漆器」。その歴史は、江戸時代初期、三代将軍徳川家光による、静岡浅間神社の社殿造営にまで遡ります。極彩色総漆塗の絢爛たる社殿を仕上げるため、全国各地から腕利きの漆工職人が駿府に集められました。彼らが造営後も定住したことで、駿府で漆器の生産が盛んになったのです。そうして作られた漆器は「駿河漆器」と呼ばれ、参勤交代の折の土産物として珍重されることで、広く全国に知られるようになりました。

幕末から明治初期になると、日本は万国博覧会に国産品を出展するようになります。特に、明治6年(1873)のウィーン万博に出品された寄木細工の駿河漆器は、その精緻な技法と芸術性から高い評価を得て、世界を驚かせました。これをきっかけに、海外から注文が殺到。そこから、箪笥類、香水棚、時計筥など、多様な駿河漆器が生産され、ヨーロッパ諸国を中心に輸出されていきました。
 また明治期には、「変わり塗り」といった、現在も駿河漆器を特徴づけている技法も出現。海外輸出の最盛期となる明治30年代から大正時代には、なんと輸出漆器の8割を駿河漆器が占めるほどだったと言います。現代に受け継がれている駿河漆器は、「日本」を象徴する工芸品である「漆器」の、トップブランドだったのです。

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