漆の可能性
漆を食べる
植物としてのウルシは、葉・花・芽・枝・樹皮など、余すところなく利用が可能です。例えば、果実はローストしクラッシュしてコーヒーに。花はハチミツの原料になります。新芽は天ぷらにすると美味だとか。韓国では、皮や枝を使った薬膳料理の漆鶏湯(オッタク)があり、血行促進や肝機能回復効果などがあるとされています。
木材として漆を活用
漆といえば「黒」のイメージですが、木材はとてもきれいな黄色をしています。柿の木も製材した時は黄色ですが、時間が経つと茶色味が増していきます。ウルシは黄色が褪せず、照明を当てると黄金のように輝きます。この黄色を生かした木工品や染物の商品開発が始まっています。
天然プラスチックとしての活用
奈良時代に作られた、興福寺の阿修羅像は、乾漆という技法で作られていますが、それは現代のF.R.P.(繊維強化プラスチック)と原理的に同じ造形技法です。F.R.Pは環境に負荷を与えますが、漆は天然資源なので、その環境的価値も注目されてきています。漆産地の二戸市で漆をFRPのように使用して造形したオブジェが展示されました。
「日本文化」への興味
ヨーロッパの芸術家、職人たちは、長い間「黒」を作るために苦労してきました。中世ヨーロッパでは塗料で黒色が出せず、日本の漆の黒色を求めて高価な工芸品や家具を作らせたそうです。漆黒の美しさは職人たちの憧れであり、堅牢さとともに日本漆器が有する優れた特徴でした。
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