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静岡の漆文化

日本における漆利用の歴史は、およそ9千年前まで遡ると言われています。静岡市内でも特別史跡登呂遺跡から弥生時代の漆塗りの琴が発見されています。登呂遺跡から出土した琴には、全面に朱漆が施されていました。祭祀具である琴に塗料として漆が用いられていることから、登呂に生きた人々も、漆の耐久性や接着性を日常に利用するだけではなく、その美しい光沢と質感に芸術性を見出していたことが窺えます。

登呂遺跡で発掘された漆塗りの琴(写真提供:静岡市立登呂博物館)
復元された朱漆が施された琴(写真提供:静岡市立登呂博物館)

久能山東照宮

漆に芸術性をみる精神は、その後の時代にも脈々と受け継がれました。なかでも徳川時代は、漆の神秘的な美しさを権威の象徴としていたようです。徳川家康公が亡くなった翌年の元和3年(1617)、家康公を神として祀るために建立されたのが国宝・久能山東照宮です。久能山東照宮には極彩色総漆塗りの社殿が採用されました。まさに漆は、栄華を極めた徳川幕府の権威を全国に知らしめるものだったのです。

同じく家康公以来、徳川幕府の庇護を受けてきた静岡浅間神社の社殿群にも漆が施されています。文化元年(1804)から実に60年の歳月を経て完成した静岡浅間神社社殿群の再建事業では様々な技術をもった職人たちが駿府に集められました。彼らのうち漆工の技術を持つ職人の定着が、駿河漆器などの漆芸をこの地で発展させるきっかけになったとされています。

静岡浅間神社

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